世界の島は語る
海・・・
それは島の療養所に隔離された者にとって、社会や家族との「壁」そのものでした。療養所の入所者たちはこの海を眺め、故郷を想い、家族を想いました。
またそれは、日本の療養所だけではありませんでした。世界各地でハンセン病患者に対し島への隔離が行われ、その入所者たちも同様に「壁」に涙したのです。
現在その島々は、隔離の記憶をあえて抹消し、まったく新しい歩みをはじめたもの、隔離の記憶を乗り越え、新たな意義を見出そうとするもの。状況は様々あります。
世界の島の声に耳をすませば、日本の島の療養所、その将来を考えるうえで、重要なメッセージが聞えてくるのではないでしょうか。
長島愛生園歴史館 学芸員 田村朋久
「世界の島は語る」は2010年5月8日 第6回ハンセン病市民学会総会・交流集会in瀬戸内においてパネル展示したものです。